ぶらっと写真散歩、ポエム読むこと書くこと、遠い空を眺めること、そしてときめき・・大好きなわたし


by makochi09
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想いは永遠

想いは永遠_d0006718_23575698.jpg

図書館で村山由佳さんの"永遠”を借りてきました。
昔・・何を読んだかは忘れてしまったけど村山さんの本を
一回読んだことあってそれ以来なんで・・久しぶりです。

とても自分の過去とシンクロしてしまう部分もあって胸にずしっとくる話でした。

主人公”弥生”は曽祖母の時代から代々続いた芸者置屋のひ孫に当たる
存在で弥生の母・・葉月はそんな家柄が嫌で猛勉強して家を出て
大学にはいったんだけど在学中に身ごもり家に出戻り・・
未婚の母として・・弥生を産んで
弥生が5歳のころ・・徹也の住む街に越してくる。
葉月は結局血筋からか・・その町でホステスをしながら弥生を
ひとりで育ていた。

弥生とお隣同士だった徹也の家庭もまた父親の酒癖の悪さで
母親が自分を置いて出て行ってしまい・・ずっと父と二人暮しをしていた。
似たもの同士の境遇のふたりは兄妹のように大人になるまで
支えあいつつ育っていった。
徹也は、甘い香りのする葉月さんを・・密かに母親のように慕っていた。
徹也の父は葉月さんのことを・・一人の女性として好きだったが
葉月もそれを知ってはいたけど・・生涯・・弥生の父である・・真山悟だけを
愛しつづけた。

弥生の父は・・・代々続く名門の家柄で・・当然芸者の置屋の孫娘など
家柄を汚すと・・許してもらえず・・葉月も・・そのことがわかっていたから
すでにおなかに弥生がいたが泣く泣く自分から身をひいて彼に別れを告げたのであった。

弥生には父の存在はずっと明かしてはいなかったけど
でも・・自分が末期がんにおかされ・・余命があと数ヶ月しかない
とわかり・・弥生に・・父の名前と居所とどんな人だったのか
想い出を初めて語る。

弥生が・・・・・・"お父さんのこと恨んだ事ないの?”

ときくと・・

"どうして恨める?・・あなたを私にくれた人なのに”

その言葉がとても印象的でした。文中に
血のつながりだけでなく想いはどんなに離れていても永遠に続く。
一度出会って誰かと芽生えたつながりは・・ずーっと続いていく
たとえ形を変えたとしても想い出に変わったとしても
かつてその人と交わした言葉のひとつひとつの記憶は・・
海のそこに沈んだ貝殻のようにずっと自分の心の中に残っていくもの・・
想いは永遠なの・・

そう書いてあってその言葉がなんだか胸にずしってきて・・
涙がこぼれそうになっちゃいました。

その本を読んでふと・・もう何年も会ってない父のことを思い出した。
私は父のこと好きでも嫌いでもなかった・・。
ただ私たちとではなく自分の人生を選んでいった人なんだと
そのことに・・少々恨み心もあったけど・・・でも泣くこともなく

”しあわせになってね・・”

と中1のとき・・最後にそう言ったのを覚えてる。
こんな家に生まれなきゃよかったとか想ってた時期も散々あったけど

でも・・家庭を持ってみて・・子供も産んでみて
あの頃の父のつらかった気持ちとか
なんとなくだけどわかるようになった・・。
子供がかわいくない親なんていないと思うからね・・

今大人になって・・自分があの頃の父のように暇を見つけては
CAFEに通ってる自分を
ふと。。”蛙の子は蛙か・・”とくすっと笑ったりしています。

会うことはこの先なくとも・・血はそして・・想いは永遠に受け継がれていく・・

記憶の中には忘れたくない思い出もあれば忘れてしまいたい
という想い出もある。でも忘れたくても忘れられない想い出ほど・・
本当は忘れてはいけない思い出なのかもしれません。
by makochi09 | 2006-02-07 00:08 | BOOK