ぶらっと写真散歩、ポエム読むこと書くこと、遠い空を眺めること、そしてときめき・・大好きなわたし


by makochi09
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

泳ぐのに安全も適切でもありません。

泳ぐのに安全も適切でもありません。_d0006718_9375698.jpg
図書館で江國香織さんの
”泳ぐのに、安全でも適切でもありません”
という本を借りて読みました。10こもの短編小説になってるんだけど

それぞれにいろんな生活があり
いろんな人生が、いろんな男と女の考え方が
また存在しとりどりで不可解な想いが交差している。

でも人生はこのタイトルにも書いてあるとおり
泳いでいくのに安全でも適切でもない
空間なんだけど・・


でもここに出てくる彼女たちが蜜のような一瞬を確かに
生きていた。他のだれかではなく彼女自身の日常の中において

それはいつか終わっていくのかもしれないし。
これからも続いていくのかもしれない・・
それは誰にもわからないのだけど・・
でもその濃厚な時間をとても愛しく思っていたり、
懐かしんでいたり、淡々と描かれていました。
江國さんならではの・・タッチで・・。



私はこの短編の中で一番最後の”愛しい人がもうすぐここにやってくる”
この話がすごく好きでした。

彼には家庭があって彼女にも帽子職人という立派な仕事がある。
でも毎週月曜日の夕方に必ず彼とホテルで逢引をする。
短時間でも彼と凄くこの濃厚な時間が幸福な逢引だと彼女は思う。

この二人にはいくつかの習慣がある。
自宅には絶対電話しないとか。彼の葉巻は私が買うとか・・

その習慣というものを考える中で彼女がふと気づく・・

どうしてお互いこんなに愛しているのに・・ずっとこの状態でいるのだろう・・

でもそれは・・彼が妻と別れないのは、彼がそこに帰ることが習慣だからだろう。
人にはそれぞれに習慣があるのだ。
大切なのは快適に暮らすこと習慣を守ること・・
そんな風に考えてみると二人の関係もなんとなくだけど納得がいく。


特に不倫の恋にはふたりにしかわからないような暗号のようなルールで
繋がれている。それをどちらかが破ったら終わりなのかもしれない
でもその習慣なりルールを適切に守っていけば安全にその空間を
泳いでいられるのかもしれないですね。
by makochi09 | 2006-05-26 10:15 | BOOK