ぶらっと写真散歩、ポエム読むこと書くこと、遠い空を眺めること、そしてときめき・・大好きなわたし


by makochi09
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しあわせのねだん

しあわせのねだん_d0006718_7593553.jpg

最近大好きではまっている角田光代さんの
エッセイ”しあわせのねだん”を読みました。
角田さんは家計簿をつけているそうで・・いろいろ街に出て買い物したり
食事したり、時には旅行に行ったり、その時使ったお金のエピソードがエッセイになってます。
たとえば・・バレンタインデーのチョコレートの話。バレンタインにチョコレートを
あげたことがなく興味本位で三越デパートに行ったら、バレンタインのコーナーに
すごい女たちが群がっていて・・闘争劇をくりひろげている・・
"男たちがこの姿を見たらきっと怖くてチョコレートなど口に出来ないだろう”
なんて思いつつ自分も深呼吸してその戦場に飛び込んでいき・・
いったいバレンタインに送るチョコレートの相場はいくらなんだ?


いろんな人を観察してたら・・ある女性が"1000円のをひとつ”と売り場の人に
渡しているのをみて・・同じ1000円のにしようと思ったけど・・
"3000円のひとつ”
と気がつけば叫んでいた。この2000円の差が私の闘争心なんだろう。
なんて書いてあって角田さんの素顔の一面に笑えました。

他にもお母さんとの旅行の時のエピソード ”記憶9800円×2”もじーんとしてしまった。
毎年お母さんを温泉旅行にプレゼントしていたらしいんだけど、
ネットで検索して10000円以内ですむ格安の旅行をみつけ
写真をみたらかなりお風呂も川沿いにあって良さそうだったし建物いい感じで食事も
豪華松茸コースなんて書いてあるから早速”これは!”と申し込んだら・・・。

ネットの写真ではすごく良く見えた建物もお風呂も
実際に行ったら全然イメージが違く、期待してた食事も
”どこに松茸?”みたいなお料理でがっくり・・・・・・。

私も・・実は同じ失敗をしたことがあるので笑ってしまった。
あれはまだアッキーが4才ころかな?家族旅行に行きたいと思い立ち
ネットで検索して探してたら熱海で9800円で泊まれる・・
写真で見たらわりと建物の外観も良さそうな感じだったのよ
で申し込んで実際いってみたら・・しなびた旅館で寒々しい暗ぼったいお部屋で
期待してたお風呂は・・家のお風呂が岩風呂になったくらいの大きさで・・
すごい悲しかった思い出がある。
このエッセイにもかいてあったけど・・・・

母は”どこでもいいわ・・あなたにまかせるわ”といいつつ・・
"この薄汚いホテルはないわよねぇ・・お風呂も髪の毛浮いてるし、ここの食事も
いったいどこが豪華松茸コースなのかしら・・ねぇ・・”
いろいろ散々文句を言われ・・だったら自分で探せよぉーーーといいたくなってきた。
と書いてあって・・
ほんと・・私もあの時・・旦那に散々”安いところ選ぶから・・”と文句を言われ
しゅーんとなってたので・・同じ同じと共感。

でもこのエッセイの最後に
散々な最悪な旅行のはずだったのに2005年に母が入院し退院したらと思っていた旅行も
いけなくなってしまった。
誕生日の4日後に母が亡くなり今となってはあの最悪な旅行が一番
自分の記憶の中に残っている。いい思い出となっている。
そう書いてあり目が潤む想いがした。

ほんとそうなんですよね。人間の記憶っておかしなもので・・楽しかったこととかって意外とぽっと忘れちゃうんだけど自分の中で忘れたいと思ってる思い出ほど胸に焼くついてたりする。


私たちはお金を払っていろんな品物を買ったり、旅行に行ったり、何かを食べたりいろいろする。
その時支払ったお金と引き換えにきっと私たちはお金では買えない何かを手にいれる。
それは、喜びだったり、楽しさだったり、時には悔しさもあるでしょう、
いろんな人の笑顔もそこにあったり
その時抱いた気持ち、心に残る記憶、それがその時はわからなくても
ふと振り返るとあの時の出来事は実はしあわせの1コマだったんだなぁ
と実感する。それが何よりも自分にとって大事な宝物となるのだろう。
しあわせは大それた物じゃなくてきっと何気ない日常のひとこまの中にある。

通帳の中にいくらたくさんのお金があってもためこんでも
生活を楽にはしてくれてもそれはその人の思い出にはならない。
お金では買えがたいものにこそ価値があり人の心をまた潤してくれるものなんだろう。


このエッセイを見ながら・・無頓着にお金を使ってきたんだけど・・
ひとつひとつ思い出を大切にエッセイ風に綴っていくのっていいな・・・って思いました。
by makochi09 | 2006-09-21 07:59 | BOOK