ぶらっと写真散歩、ポエム読むこと書くこと、遠い空を眺めること、そしてときめき・・大好きなわたし


by makochi09
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この本が世界に存在することに

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私の好きな作家の一人に”角田光代さん”がいます。
この人の小説やエッセイが大好きで・・今回も図書館で”この本が世界に存在することに”
という短編小説を借りて読ませてもらいました。

本と恋愛とか本と家族とかのいろんな本にまつわるエピソードが
短編になってる話なんですけど・・けっこう面白かったです。

その中で”旅する本”という話がけっこうおもしろかった。

たまたまネパールに海外旅行にでかけ・・旅先の古本屋で日本書籍の本を探していたら
昔、自分が古本屋に売った本と同じ題名の本が売られていて・・
”まさかね”と思いつつ懐かしい~と手に取った・・。
その本は古本屋に売るときなぜか何度も店主に
”本当にこの本売っていいんですか?”
と聞かれた本だった・・
”そんなに価値がある本なのかな・・”と思いつつ惜しげもなく売った本

懐かしくなってパラパラめくっていたら・・
”この本はまさしく自分が買った本じゃないかぁー”
と目をまるくする。
どうしてこれが自分の本だってわかったかというと・・
本の最後の空白のページに自分のイニシャルとイラストを書いていたから・・

高校生のとき放課後のケーキを何度も我慢して買った本。
友達に貸してといわれて・・”大切な本だから絶対かえしてね”と
イニシャルと花のイラストを描いていたのをすっかりと忘れていた。

まさか何十年後に旅行先で再会するとは・・
だれがこの本を買いそしてこのネパールの古本屋に売っていったのだろう
そんなことを想像すると不思議なドラマを感じる。

旅先で思わぬ再会を果たしもう一度その本を買ってひさしぶりに読んてみたら
同じ内容のはずなのに・・ずいぶんと思い違いをしていたことに気づく

変わってしまったのは本ではなく、自分自身
ケーキを節約してた純真に本を買った自分自身は・・大人になり家を出て恋を知り
いろんな日常を過ごす中で絶望があったり果てない希望があったり
その積み重ねのなかで・・向き合うこの本はそのときの自分の心の状況により
意味をかえていく・・

音楽でもそうですよね・・昔、子供の頃はただメロディーが好きで
歌詞の意味などわからずに・・口ずさんでいたあの歌も
何年後かにもう一回・・改めてその歌を聞いてみたら

あの頃は、この歌詞の意味がよくわからなかったけど・・
今は伝えたい気持ちがよくわかる・・って歌が何曲かあった。

経験を積んだり年を重ねないと意味がわからないこともあるね

本もきっと同じような気がする。
一回読んでつまらないなぁ・・と思って閉じちゃった本も何年かしてもう一度
読み返してみたら・・”あれ・・・こんな本だったっけ?けっこうおもしろいじゃん”
と思えるようになってるかもしれない・・・。

人の気持ちも趣味も考え方も感じ方も時間とともに変わってゆくものだから・・

旅先でもう一度、あの頃わくわくして自分が買った本に出会う
その神秘がすごくいいな・・って思った。
by makochi09 | 2007-08-30 17:45 | BOOK