ぶらっと写真散歩、ポエム読むこと書くこと、遠い空を眺めること、そしてときめき・・大好きなわたし


by makochi09
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ビタミンF

ビタミンF_d0006718_21401028.jpg

図書館で初めて重松 清さんの
ビタミンFを借りてみました。
お友達の夏花ちゃんが読んで
良かったと感想書いていたので
私も読んでみました。

7つの短編ストーリーからできていてどの話も父親からの視点で
書かれている家族の話。
ちょうど30代から40代層の中高年の男性がモデル。
私達と同じくらいの子供を持ち仕事と家庭の狭間で葛藤している
父親像がすごく斬新に描かれていてどの話もすごく共感できた。


その中でも強く印象が残ってる話は
”せっちゃん”と言う話。
とってもしっかりしていて勉強もできて毎日学校の出来事も良く家族に話してくれて
全然心配してなかった娘が・・ある日転校生の話をするようになった。
でもその転校生はなかなか友達となじめなくて、いつも蚊帳の外のような子だと言う・・
クラスのみんなから嫌われていて

体育祭のダンスの振り付けが変わったことも
誰も教えてくれなくて・・一人違った踊りをしてて
宙に浮いていた・・そんな実に詰まる話をするのである日

”もうそうゆう話は聞きたくないな”

と父が言うと

”それが現実なんだよ・・
いじめは悪いことだけど、誰かを嫌いになるのは個人の自由
『いじめはやめろ』とは言えるけど、『だれかを嫌いになるな』
なんて言えないでしょ。”

とつめたい口調で娘が言った。

でもある時、実はその転校生が来たと言うのは全部嘘の話で
いじめの対象になっていたのは娘自身だったことを
知ることになってショックをうける。

なんでも娘のことは知っているつもりでいた
なんでも学校の話をしてくれるから安心しきっていた
でも娘の置かれてる現実を実は何にも知らなかった自分
その切なさ、苦しさこんなとき娘にどうやって接してあげたら
救ってあげられるのか・・

その時の家族のかかわりや葛藤、父親の娘に対する想いがすごく
丁寧に描かれててラスト
父親が街の人形屋さんで何気なく見つけた”流し雛”

「これは自分の今のつらいことを人形に託してかわりに流してくれると言うものなんだよ」

その説明だけ娘にして・・

”これを川に流そう”

と提案する父・・娘も・・ほんのちょっぴりだけ

”こんなことしても現実は厳しいままだよ”

と本音を言いつつも家族の暖かさに触れ少しだけ笑みがこぼれ
流れていく流し雛を見ながら現実をがんばろうと強く想い
どこまでも手を降り続けながら雛を見送る
そんな話だった。
すごくじーんときてしまった。

現実はすぐには変えられなくても、一人でも二人でも
自分を暖かく受け止めてくれる家族や友達がいる。
それだけで人間はまた辛い現実をも乗り越えていける力を与えてくれる。
私も2人の子持ちの母をしてて・・息子君も来年は中学生。
そろそろ思春期を迎えるわけで・・だんだん口数も減ってくる。
学校でどんなことがあるのか・・どんなことを考えてるのかどんどん
わからなくなってくる・・。
やっぱり本音をね・・ぽろっと吐き出してもらえるような
そんな関わりをさりげなくでいいからしてあげられる雰囲気を
常に作っていてあげたい。
家庭とは傷を癒して再生させるそんな場所だと思うから・・

そんなことをこの話を読みながら思っていたよ。
家庭の温かみをすごく感じる
どの話も心の中に優しく響くビタミンみたいな話だった。☆5だぁ
by makochi09 | 2007-03-20 21:40 | BOOK